「トランプは、大衆の愚かさを利用した」米大学生の実感と今後の展望
2016年11月8日 (現地時間)、アメリカ大統領選が行われました。
当初の予想や出口調査をくつがえし、トランプ氏が当確。フロリダ州をはじめ、激戦区といわれていた多くの州で僅差ながらも勝利。来年1月20日には、トランプ新大統領が誕生することになります。
今回は、トランプ氏が大統領になったあと、どのような政策方針が打ちだされるのか、またそれが日本にどのような影響をおよぼすかに触れたのち、現地アメリカの大学生に寄稿、またインタビューもできたので、紹介します。
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トランプ氏のおもな政策まとめ
【外交面】
「アメリカはお前ら (同盟国) を守ってやってるのに、なんでお前ら何もしとらんの?」
というのが基本姿勢です。
1.「在日米軍の駐在費を負担しろ!そうじゃなきゃ撤退するぞ!」
日米安保条約を尊重していたクリントン氏とはちがい、日米外交は不安定。日本にたいして、在日米軍の駐在費をだしてくれ、と主張しています。これまでどおりの協調路線はうまくいかなくなくなるでしょう。
2.「日本は核をもて!」
さすがに実現性は乏しい。
しかし、アメリカが他国と戦争した場合、日本の集団的自衛権行使は現実味を帯びてきます。
3.「その他の同盟国も、しっかり借りを返してくれよぉ」
同盟の重要さは理解しているものの、アメリカが貢献しているぶん負担をしろ!と他の同盟国にも負担を求めています。
【経済面】
「アメリカの経済が第一や!」
というのが基本姿勢。間違ってないですけど。
1.「金持ちにあんまり税金はかけないやで!」
富裕層に対する税制優遇を打ち出しています。
これにより、企業が海外へ流出するのを阻止。そうすれば国内で雇用が創出され、結果的に経済がよくなるというのが基本の主張です。
間違っていません。
しかし2009年の経済危機は、富裕層への減税によって引き起こされたともいえるため、実際に機能するかは未知数です。
2.「TPPは、国の製造業を苦しめるから、反対や!」
日本に直接関係するところは、トランプ氏がTPPの議会承認に反対だというところ。
TPP協定は、署名こそ終わっているものの、参加する12カ国の議会で承認されなければ発効されません。また、そうでない場合にも発効する可能性はありますが、
しかし、2年以内にこうした手続きを終えることができなかった場合には、12か国のGDP=国内総生産の85%以上を占める少なくとも6か国が手続きを終えれば、その時点から60日後に協定が発効する仕組みになっています。
日本のGDPが17.7%、アメリカが60.4%と、この2国だけで加盟国の全体の78%に達するため、日本とアメリカのほかにGDPが比較的大きな4か国が手続きを順調に終えれば、TPPは2018年の4月に発効することになります。
(引用:NHK NEWS WEB 協定の発効に向けた各国の動きは|今さら聞けないTPP 基本がわかる18のカード)
つまり、アメリカの議会で承認されなければ、TPP協定は不発。
トランプ氏は、自国の製造業が大打撃をうけるとして、TPP協定の承認に反対。承認に前向きなオバマ氏が、残りわずかの任期内に国会承認を取りつけられないかぎり、TPPは発効されません。
日本の製造業が、アメリカとの貿易のおかげで盛んだということにも、トランプ氏は不満を述べています。
たとえば、アメリカにはたくさんの日本車が走っており、自国の自動車産業は本来のシェアを奪われている、と主張しています。トランプ氏は、日本車にさらなる関税をかけることで、自国の自動車産業を保護しようとの主張をしています。
そのため貿易の面でも、日本は悪影響をうける可能性があります。
【社会面】
「不法移民は許さんぞ!銃は持て!」
が基本姿勢。
1.「不法移民は、国に強制送還や!」
アメリカには現在、1100万人もの不法移民がおり、多くはメキシコの国境を越えて流入してきます。国内にいる不法移民は、低賃金ながらも重労働をまかなっているため、アメリカ産業にとっては欠かせない労働力基盤でもあるわけです。しかし、不法移民が自分たちの仕事を奪っているとして、白人労働者、とくにブルーカラー層は不満をためこんでいました。
トランプ氏は、それら不法移民の強制送還を主張しています。そのため、いまの移民制度改革には、否定的なかたちで変更が加わるでしょう。
2.「メキシコ国境に壁をつくってやるぞ!」
メキシコとの国境に壁をつくる!という主張も繰り返しています。本人は本気なのでしょうが、現実的に壁が築かれるとは思えません。本当に壁はつくられなくとも、国境の警備はいままで以上に厳重になるでしょう。
3.「自分の身は自分で守る。銃がなかったら何もできないじゃないか」
クリントン氏は銃規制を強める主張をしていましたが、トランプ氏は銃規制に反対。
銃規制がもっとも厳しいシカゴでも銃犯罪が絶えないことを理由に、規制をすることが犯罪の減少につながらないとしています。
【環境面】
「規制するなんて時代遅れだから。パリ協定とか、離脱ですわ」
すべての国が協調して、地球温暖化問題に取り組んでいこう!となったパリ協定からの離脱を主張。規制をかけて、企業や労働者に負担を強いることは経済発展につながらないとしています。
個人の感想
個人的な感想をいうと、トランプ大統領が率いていくアメリカがどういう方向に行くのか、とても不鮮明だなと。あ、たいした感想じゃないです。
クリントン氏の政策は「まあ常識的に考えれば、そうだよね」と納得できるもの、言ってしまえば「安定」の政策でしたが、トランプ氏は正反対。富裕層への経済政策をのぞけば、「え、まじ?ほんとにそんなことできるの?」という方針が目立ちます。
とくに不法移民に関しては、強制送還に力をいれることで、本当に国内の雇用が創出されるのか? 労働力の基盤を破壊するのではないか?とも思ってしまいます。
だから、これからどうなっていくか本当にわからない。
アメリカの有権者は、クリントン氏のような「従来の政治家」よりも、トランプ氏のような「型破りな実業家」を選びました。
「これまでの政治家像では、生活は変わっていかない。それならトランプ氏に託したほうがこの国、変わっていくんじゃないの?」
という希望があったと思うんです。
良くも悪くも、新しいリーダー像として、アメリカ国民はトランプ氏を出迎えたのではないでしょうか。
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現地アメリカの大学生へのインタビュー
あらかじめ断っておくと、いち大学のアメリカ人学生の意見です。現在、カリフォルニア州の大学に在学中。クリントン氏支持派。
個人的な所感ですが、カリフォルニア州の学生や教授陣は、圧倒的なクリントン氏支持でした。それは、カリフォルニア州の人種構成として、白人層が他の州に比べて少ないことが理由として挙げられます。
「トランプ?大統領になるはずないでしょ」
と聞かされて過ごしてきた僕は、選挙結果に衝撃を受けています。地域によって、こんなにも違うなんて。
というわけで、現地の大学生のいち意見。ところどころ意訳していますが、ご了承ください。
大統領選の概観
The US Election of 2016 is one of the most controversial I have seen. The choice of our candidates are not the best people, both show what is either wrong with our society or what is wrong with our government.
2016年の米大統領選は、これまで見てきたなかでも指折り数えられるほどに、物議を醸した出来事だった。私たちの候補者は、最適ではなかった。どちらの候補者も、私たちの社会、そして政府の問題点をさらけ出している。
I am not entirely sure what future the United States will have. All I know is that it will probably get worse given the candidates, their history, and their actions.
アメリカが今後どうなっていくか、全く確信がもてない。分かることといえば、候補者の経歴や振る舞いによって、この国はおそらく悪くなっていく、ということだ。
追加でインタビューしました。
今回の選挙結果についてどう思うか?なぜこういう結果になったと思うか?
The result is to be expected. I think Trump won is because he took advantage of the average American's stupidity.
結果は、予想できた。トランプ氏が勝つと。なぜなら、 彼は一般的なアメリカ人の愚かさを、うまく利用したからだ。
トランプ氏が大統領になって、自分、または周りにどのような影響が出ると思うか?
I have no idea.
分からない。
まとめ
現状打破をもとめるアメリカ人の支持を得て、当選したトランプ氏。日本とアメリカの関係性は、いままで以上に変わっていくでしょう。
イギリスのEU離脱といい、なにが起こるかわからない時代。日米安保も、ずっと存在するものとはいえなくなってきました。そのなかで日本は、譲れないところはつよく主張していかないといけません。
関係がこじれても、です。
また慶應生が事件を起こしてしまってねえ…
自分の生活も不幸にまみれて仕方ありません。
こんなのもどうぞ。役に立ちます。