「貧乏は、発明の父よ。」と、ご立派マダムがそう言って、
異国アメリカ。
わずかな現金と、調味料が少々。3束のパスタ。そんな大貧民アカガメに、奇跡がおこる、とかいうハナシだ。
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1. 人生初のミヤコオチ
シーフードパスタ、僕の十八番。
白ワインとコストコのシーフードミックス。にんにくも、惜しみなく、フンダンに。ひとくち食べると、僕は大富豪。ルイ16世のキモチが、イマになってよくわかる。
とまあそれは、2週間前のハナシでありまして。2週間後に、僕は都落ちした、あっけなかった。デビッドカードがスキミング。全額引きだされ、カードは利用停止。現金、20ドル (11/16現在)。
都落ちしながら、僕はかんがえた。お金がなくて困るコト。
家はある、秋風からは、守られる。シャワーは、なんとか。なんなら浜で育ってきたから、沐浴対応可。ベッドも幸いに、なんとか。なんなら浜辺で快眠できる。
食う寝るトコロに住むトコロ。
なんとかなるか?
いやいや。
お金がなければ、食べモノが買えない。カメは、ハ虫類だ。なにかを食べないと、生きていけない。
異国アメリカ。
わずかな現金と、調味料が少々。3束のパスタ。3束のパスタの、1束をゆでて。カレー粉をまぶしてみる。
カレーパスタ、それは厚化粧した、炭水化物だった。
2. 季節はずれのトリックオアトリート
お金がないなら、モノゴイすればいいじゃない。
いやいや。
ストリートパフォーマーになるコトも、考えてみる。キレキレのダンスと、キャップと、ジーンズ。でも、僕にはムリだ。甲羅でスピンスピンしかできやしない。なんなら、キャップもジーンズも、買うお金がない。
王道でいこう。
純情系アカガメは、モノゴイをするコトに。ハロウィンで不発した、アカガメスタイルで。
ハロウィンから2週間。ついに僕は、ミドリの甲羅をたずさえ、シリコンバレーの邸宅に。《トリックオアフード》を、仕掛けるのだ。
1軒目、白を基調とした、ご立派な邸宅。ご立派なベルを鳴らすと、ご立派なマダムが家からでてきた。
「トリックオアトリート」
「…いかがわしい二分法ね。ご用件は?」
「あのですね、ゴハンを恵んでいただけないかと」
「あなた、貧乏なのね」
「こんな邸宅を持っていらっしゃるくらいなら…ちょっとは」
「…貧乏は発明の父よ」
そう言い残して。
ご立派マダムは僕に背をむけた。僕はいろいろなコトバを喚いた。背中に浴びせた。浴びせたけど彼女には、刺さらなかった。小学校のプール前、あのとき浴びた弱々しいシャワー。彼女にとって、僕の喚きはそんなモノだ。
ココロが折れた。
クールないたずらさえ思い浮かばなかった。だから、家に帰って殻にこもるコトにした。
「貧乏は発明の父よ」
ご立派マダムのコトバが、耳からはなれない。なにを言っているんだ、発明の父はエジソンでないか。時代が250年ちがったら、大衆の怒りをかい、コンコルド広場で公開処刑されていただろう、ご立派マダム。貧乏な僕を、救おうとしないアノ態度。
憤慨していたら、オナカが空いてきた。なにか作ろう。
異国アメリカ。
わずかな現金と、調味料が少々。パスタは2束。2束のパスタの、1束を使って。調味料が少々の、少々を使ってみる。カレー粉、ガーリックパウダー、唐辛子。気まぐれで、マヨネーズを最後に。
ひとくち、食べてみると。
コレは懐かしの、懐かしの。ノスタルジックが止まらなくなって、僕の涙も止まらない。
嘘をついた。涙はでていない。ノスタルジックが止まらなくなったのは、本当だ。
3. まぜそば原理主義者の後日談
高校時代から僕は、まぜそば原理主義者。
まぜそばの聖地、愛知に生まれ、ソウルフード認定して生きてきた。
上京の不安、濁流に呑みこまれそうな不安をなくしてくれたのも、まぜそば。大岡山駅から徒歩5分、まぜそば《こころ》。
(出典:麺屋 こころのスープなし麺をネット通販で | 宅麺.com)
食べてみると、故郷がフラッシュバックして、なかなか通いつめるコトに。この夏、一時帰国したときも、なかなか通いつめ。12日間で、4回食べた。打率333. そんな感じ。
「アメリカにいて、一番食べたい日本食は?」
あるヒトは、無難にみそ汁。あるヒトは、海鮮丼。アノ広島市民は 納豆と答えたっけ。僕の場合は、まぜそば、圧倒的まぜそば。食べたくてしかたがなかった。何も買えなくなってからは、なおさら。
そんなまぜそばの味、突然感じたらフツウは泣くよ。ただの、調味料にまみれた僕のパスタは、故郷の味を醸しだしていた。ノスタルジックとともに、閃光が僕をつらぬき。
あの日本の味。まぜそば。
故郷の味を、再現できると、実感した。貧乏は発明の父、まさにそうだ。
4. 自宅で簡単!カレーまぜそばもどきの作り方!!
というわけで偶然が生みだしたカレーまぜそばを紹介していこう。写真はところどころ、13万した一眼レフが担当している。過去の僕が、未来の僕に託した最後の資産、13万の一眼レフ。
「カメラを売れば航空券が買えるよ?」
確かにそうだ。売れば買える。でも売るわけなかろう。
カレーまぜそばに必要なのは、
・パスタ(太めが望ましい)
・カレー粉
・唐辛子
・ガーリックパウダー
・マヨネーズ
・油 (どの油でもよい)
レシピはこれだけだ。
本当は海苔や、玉ねぎの刻んだのや、肉や生卵も添えたいのだが、いかんせんおカネがないのだ。パスタと調味料だけなら、1食1ドルかからないだろう。オナカにもお財布にも優しいゴハンである。
まずは、パスタを茹でる。
そしてごま油をフライパンに引くと、
ごま油がなくなった。絶望した。
パスタが茹であがったら、フライパンにうつし、カレー粉とガーリックパウダーと唐辛子を適当にまぶしていく。最後にマヨネーズを端にそえれば完成。
なんて簡単なレシピなのだろう。シーフードパスタの時とはわけがちがう。
食べてみると、大岡山のまぜそば《こころ》のカレーまぜそばの味が再現されているコトに気づく。もっとマイルドにしたければ、生卵やチーズを追加すればよい。
僕はパスタでまぜそばをつくる道を歩みたくなった。それだけで、貧乏にも価値があったのだ。
「貧乏は発明の父よ」
そのとおりだった。
ご立派なマダムは僕に、大切なコトを教えてくれたのだった。
まとめ
・貧乏さとは、クリエイティブになるというコトだ。
4歳と14歳で生きようと思えるなら、22歳も生きようと思えるよね!
とまあこんな感じで1週間ぶりの更新でした。インプットとアウトプットのバランスがもう少しよくなるといいなあと思います。
味噌カツがソウルフード?そんなわけありますかねえ。
アカガメスタイル不発の話です。
最近は不幸でメシが食えません。