『君の名は。』のストーリーを、留学中の僕が夢想してみた
アカガメです。
君の名は。観たいです。
夏休み中に一時帰国して、『シン・ゴジラ』を三回観ました。12日の滞在で3回行ったので、4日に一回ですね。友達誘うとだいたい、映画観にいく話になりました。
アカガメが再び飛び立ったあの8月22日は、確かに『シン・ゴジラ』の時代でした。その4日後、『君の名は。』の時代がやってきました。たった4日の隔たりが、これほどの苦しみを生むとは。Pokemon Go のときは優越感に浸っていたのに。
もちろんアメリカで公開はされておらず、アカガメはTwitterの小並感ツイートと、予告編だけでストーリーを夢想するしかありませんでした。
そして、何の取り柄もないアカガメですが、実は、映画の脚本や監督をしたことがあるんですね(自主映画です)。映画というストーリーの媒体の(自称)手練手管を知りつくした僕が、大ヒットアニメ作品のストーリーを夢想してみました。
80%くらいの本気で予想しているので、引かないでください。
すでに観たみなさんは優越感にまみれながら、まだ観ていないひとには、答え合わせしたさにその足が映画館に向いてしまうようなものを書きたいと思います。
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前情報
1. Youtubeの『君の名は。』予告編
僕は、東宝さんの公式予告編の3編をひたすら見返して、悔しさのあまり泣いていました。劇場で観れない悔しさです。
2. Twitterの小並感ツイート
小並感ツイートもちょくちょく僕のもとに届きました。
「面白かった」「すごかった」「泣いてしまった」
ただ観たい感情を煽るだけの不毛なツイートたちですが、ツイートする衝動にかられるというのは、よほどよいストーリーであることを容易に想像させます。手強そうです。
3.『秒速5センチメートル』『言の葉の庭』
新海さんの作品は、上記の2作を観ています。全作品を網羅していない時点で、過去3年分の過去問で傾向と対策をわかった気になった受験生みたいでいやですね。
さて、手掛かりを見つけてみましょう。
注目すべき手掛かり
1.『千年ぶりの彗星の来訪を控えた、日本』
まずなんといっても世界観の設定は重要でしょう。
田舎と都会の対照的な舞台を描くことによって、新海さんの持ち味である風景描写は真骨頂をみせます。場面転換でもコントラストが際立ち、画で飽きさせないだろうというのは明らかです。
さらに、この日本には「千年ぶりの彗星」が来訪するというではありませんか。橋本環奈ちゃん並みの稀少な自然現象、間違いなくクライマックスの仕掛けで使われるでしょう。
2. 三葉の髪型
次にキャラクターです。
前述の世界観とキャラクターがストーリーの鍵である、と映画脚本学の教授がイントロダクションでおっしゃっていました。都心に住む青年、瀧と東京に憧れる少女、三葉です。
三葉は可愛いですね。田舎はいやだと言っていますが、歳を経るにつれて田舎の素晴らしさは心に滲みますよ、と上京した僕はそっと言ってやりたいです。
予告編を観て気になったのは、三葉の髪型が変化していることです。
入れ替わりはじめは、特徴的な赤い紐で結われた長髪ですが、いかにもクライマックスな彗星を見る三葉は、ショートカットになっています。象徴的な赤い紐が、どのように小道具として使われるか、この点も重要になるでしょう。あと、三葉の実家が神社という点も怪しいです。
3.「あんた今、夢を見とるな」
Youtubeの『君の名は。』予告編2では、入れ替わりのラブコメから一転、新海さんらしいひりひりするような切ない感じと、商業映画らしい大規模なセリフやカットがはめこまれています(「このままだと今夜、みんな死ぬ」や工場のようなものが爆発するカット)。
そして三葉のおばあちゃんであろう人の「あんた今、夢を見とるな」はキーワードでしょう。この点についての考察は後ほど。
4.『前前前世』
『君の名は。』大ヒットの鍵となったのは、映像とストーリーだけではなく、映像音楽とSNSにもあります。
今回は、RADWIMPSが劇伴を担当していて、僕は劇場で予告編の『前前前世』を聴いたとき、あ、これは観たい、と思いました。
映画『バクマン』でサカナクションが劇伴を担当していた予告編も素晴らしかったですし、この2つの映画のプロデューサーは川村元気さんとのこと。20代前半の「若者の世代」をよくわかってらっしゃるといつも感嘆せずにはいられません。
『前前前世』というからには、僕には「前」がいくつ付こうが、「前世」がキーワードになっているのでしょう。見えます、見えます。
5.「泣いてしまいました」
つづいて、SNSです。
『シン・ゴジラ』につづき『君の名は。』のヒットが象徴しているように、既成脚本であろうがオリジナルであろうが、ツイートさせる衝動さえ引き起こすことができれば、ヒット作品を生み出すことのできる時代に差し掛かっていますね。
ツイートも、気難しいこといわなくていいんです、「面白かった」「すごかった」の感想を呟かずにはいられないものを作れればいいんです。
話がそれましたが、そんなSNSのツイートを見て気になったのは、『君の名は。』を観て感動した人がいる点。泣かせる映画ってどんなものか、考えてみる必要がありますね。
以上、これらのポイントをもとに、簡潔にストーリーを組み立てていきます。念のため、ネタバレ注意です。
100%僕の妄想の産物でしかないですが。
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君の名は。アカガメ版(的中注意)
*(図解)の黒い斜線の部分は、世界が一つのところです。
舞台は千年ぶりの彗星の来訪を控えた、現代の日本。都心に住む高校生、瀧はある日、田舎に暮らす少女になる夢を見る。同じく、田舎の少女、三葉は、都心に住む高校生になる夢を見る。毎日夢にでてくるので、なんやかんや入れ替わりの人生を楽しみつつも、 お互いが誰なのか疑問をもつ。
ある日、三葉は持っていた赤い紐を瀧に渡す夢を見ると、現実世界でもなぜか赤い紐が消失してしまう。それきり入れ替わりの夢を見なくなる。
不審に思った瀧は、夢のなかで見た田舎を突きとめようと旅にでかけるが、その場所(窪地だと思う)に行き着くと、本来あるはずの町はなく、ただただ草原が広がるだけだった。
その後、三葉はおばあちゃんに千年前の因縁を聞かされる。千年前に降りそそいだ彗星は、ある男女が出会えなかったために、なぜか世界を分裂させてしまった。だが、その男が女に手渡した赤い紐によってなんとか繋ぎとめることができたのだ。
現在、三葉のもとに赤い紐がないために、このままだと世界が分裂してしまう。ただ、千年来の彗星が降る日のみなぜか世界は繋がるらしい。
その日、三葉も瀧も、お互いに会おうと駆けめぐる。
彗星の降るその夜、『前前前世』を野田さんが唄いはじめると、高速の風景のカットが曲に合わせて放出されていき、サビのいいところで二人がなぜか出会い、世界もなぜか再び繋がるのだった。
(完)
解説
まず疑うべきは、二人の住んでいる世界がパラレルワールドということです。
アカガメは、映画、演劇、小説、とたくさんのストーリーをみてきましたが、パラレルワールドになるだけで話がややこしく面白くなります。
たとえば、村上春樹著『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』や、デヴィッド・リンチ監督『マルホランド・ドライブ』ですかね。なんなら、学生演劇や、小劇場の演劇のほうがパラレルワールドの構成をよくみました。
『君の名は。』もその類でしょう。
「夢」を通して、二人はそれぞれパラレルワールドに呑みこまれます。きっとこのストーリーは、「出会わないはずの男女が最後に出会う」ことで「泣いてしまいました」ツイートを量産しているのだろうと考えました。
さらに予告編を鬼気迫る表情で見返していると、印象的な窪地のシーンが、湖になっているバージョンと、草原になっているバージョンがあるため、やはり世界線が違うやつだと確信しました。
予告編の思うつぼになっている可能性のほうが高いですね。
『前前前世』と「千年ぶりの彗星」と、実家が神社なあたり、千年前(つまり平安時代)になにか因縁のようなものがあります。それが赤い紐により象徴化されています。そして、なぜか赤い紐は消失し、三葉はなぜかショートカットになるんですね。ここらへんの仕組みは僕にはようわかりませんでした。
そしてなんとかパラレルワールドを止めようと、若者二人が奔走するんですね。
で、彗星が降り注ぐ日にだけなぜか世界はもう一度繋がって、二人は出会うことになります。
ここで重要なのがクライマックスで野田さんが唄いあげる『前前前世』です。
新海さんの鑑賞済み2作を観てみると、クライマックスの『謎の高速風景カット』と主題歌が組み合わさり、MVみたくなります。『前前前世』は、二人が出会うシーンにしてはいささか激しい曲調ですが、ヤマを張るのだとしたらクライマックスに来る確率に賭けてみるべきだと思いました。
以上です。
アカガメは自己満足の境地に至りました。涅槃です。
まとめ
アカガメはこのストーリーを構築したことで、もう『君の名は。』を観た気になっています。なんなら勝手に自分でハードルを上げてしまった気がしています。何も言わないでやってください。
真実は知らないほうが幸せだということもあります。