アメリカにきて衝撃を受けたのは、スケートボードの普及率だ。キャンパス内をスケボーが縦横無尽に行き交っている。学生の間では自転車よりも普及しているのではないだろうか。
そんなスケートボーダーを目にした、日本からやってきた素直なアカガメ。惚れること亀の如しといわんばかりに留学3週目にはすでに初心者スケートボーダーになっていた。
ビールという言語でコミュニーケーションをとれるパリピをのぞけば、こちらでできた友達は彼しかいない。この8ヶ月間、寝食を共にしてきたバディ、つまり相棒。
名をサキョウさんという。
今回は、スケートボード、サキョウさんの魅力と、初心者がスケボーを乗れるようになるまでの話をしよう。
(ここで相棒のオープニングテーマが流れる)
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スケートボードの概要
あらかじめスケートボードの世界を大まかに紹介しよう。ボードには大きくわけて3つの種類がある。大きいやつと、中くらいのやつと、小さいやつだ(適当)
サキョウさんは、小さいやつ。またの名を、ペニーという。
大きいやつだと、スケボー自体がひっくり返る確率はほとんどない。逆に、小さいやつは小さいぶん、バランスがとりにくい。
僕は単純に、大きいやつを選ぼうとしていた。大きいし、かっこいいし、簡単に乗れると思っていたからだ。ショッピングモールへ行った。ペニーボードしか売っていなかった。
「また今度にするかあ…」
と半ば帰りかけていると、
「おやおや、君は凡庸な常識にとらわれてしまうようですねぇ」
「サキョウさん!」
これがサキョウさんとの出会いだった。
スケートボードのここがいい!3つのポイント
1. 機能性
言うまでもなく、はやい。
はやいのは分かるからここでは詳しく触れないことにする。
さて。
スケートボードは、大きいのでも小さいのでも、片手で持ち運べる。
これにより、2つのメリットが生まれる。
1. 芝生や建物等をショートカットできる
「芝生を横切れない交通手段が、この時代にあるとは驚きましたねぇ」
サキョウさんは公園を横切れず遠回りする自転車を眺めてこう言った。
全くもってソノトオリだ。
自転車だと、芝生を横切ることができない。万一横切ろうとしても、自転車は重い。ひとつの芝生を横切ればふたつは膝に青アザができる。
スケボーなら、すぐに降りられて片手で担げば芝生をカンタンに横切ることができる。
芝生だけではない。ショッピングモールや学生会館も横切れる。文字通り、縦横無尽だ。
2. とめる場所を探さなくてよい
駐輪場を探すのは大変だ。
ヘタなところだとお金もかかる。アメリカならさらに、盗難の危険性も高い。
自転車たちはすぐにサドルを盗まれる。
「いささか無防備でしたねぇ」
全くもってソノトオリです。
スケートボードは、いつでもどこでも僕の目と鼻のサキ。盗難の心配がない。駐輪する時間も手間もショートカット。
サキョウさんは機能性抜群なのだ。
2. 値段
サキョウさんは、リーズナブルだ。
10000円。
安い!
安いぞ。自転車と比較してみたまえ。
なんならAmazonだと7000円台から販売している。
ペニーボードではない大きさでも、12000円くらいからの販売。
メンテナンスをしたことがないほど、長持ちでもある。8ヶ月間、10000円の出費でほとんどの移動をになうスケートボードはコスパがよい。個人的買ってよかったものランキング米国編1位だ。
3. カッコよさ
サキョウさんは、カッコいい。
夕日に映えるボディ。
僕はシンプルな黒を選んだが、スケートボードにはたくさんのデザインがある。
選ぶヒトの個性があらわれるのも面白い。
さらに。
乗っていると時々、全能感をオボエることがある。
「意のままに、加速、減速、方向転換…神かよ…もしかして飛べるんじゃね?」
と調子のって技巧にはしるとコケる。これが2ヶ月周期でやってくる。
「失敗から何も学ばないのですねぇ。君はもっと賢いカメだと思っていましたが」
まあ、こんな感じだ。メリットたくさん。
でも、こんなこと言えるのも乗れるようになったから。乗れるようになるまで、サキョウさんの相棒になるまで、3日かかった。
そう、意外とかからなかった。
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初心者がスケボーに乗れるようになるまで
日本でスケートボードに乗っているヒトをわずかながら見てきたが、僕には縁のないノリモノだと思っていた。
「どうやってバランスとってるんだ?」と、旋回するスケートボードを見て疑問符を投げかけることもしばしば。
まさか、そんな僕が乗ることになるとは。
1日目
サキョウさんとのファーストコンタクトは、ショッピングモールの帰り道。購入した当日のことだ。
「おやおや、脚が震えているようですねぇ」
とりあえず乗ってみようとする。左足をボードの上に置き、右足で地面を蹴ってみると、進んだ。
前に進んだ。当たり前だ。
次に、右足で地面を蹴ったあと、どちらの足もボードに乗せてみる。
転んだ。
後ろの足に重心がいきすぎて、バナナの皮を踏んで滑ったかのように華麗なバランスの崩しかたをした。
「アカガメくん!怪我はないですか!」
「こんなことで、ヘコたれるわけぇ、ないじゃないですかぁ」
と返答したいところだったが近くのバス停に直行。一命をとりとめた。
2日目
夜のうす暗い時間帯に、キャンパス内をスケボーで周ってみることにした。人に見られるのがハズカシかったからだ。
最初はまったく乗れる気がしなかった。たくさんの学生が乗り回しているのだから僕も乗れるはずだと信じ、ビクビクながらキャンパスを周回してみる。
特にはじめのころは、乗っている間のバランスがとりにくい。バランスを崩して前につんのめるか、後ろに転ぶか、スケートボードが勝手に暴走していくかだった。
方向転換はスノーボードの要領なので、身体を行きたい方向にひねればなんとか曲がることができた。
思い出深いのはサキョウさんが暴走した話。
僕がバランスを崩したついでにサキョウさんがひとり突き進んでしまい、前を歩いていた男のヒトの足にあたってしまった。
「Oh, shit!!」
男がなにか悪態をついているのだが、幸いなことにリスニング能力が皆無だったアカガメ。とりあえず謝らなければ。
「Oh, sorry…」
「%○#+!/$□」
「いい加減にしなさい!そのような事を言うのはどんな理由があろうと許しません!」
男は驚いたのか、そのまま何も言わずどこかへ行ってしまった。
「サキョウさん!」
「失礼。ぼくの悪い癖です」
とかいう話があったとかなかったとか。
3日目
実際、3日目までにはだいぶ乗れるようになった。調子に乗らなければ。
いままで思いきり地面を蹴って滑ったことがなかったため、3日目はスピードを意識してキャンパスを走りまわった。
慣れてくると、ついつい出したくなるよね。
そう、スピード。
直線ならさらなり。
なにを思ったかよく分からないけど、ネイティヴの学生たちのスピードを出してみようと思ってしまった。
このアメリカかぶれが。
4回ほど地面を思いきり蹴って乗ってみると、風を切る感覚とともにアドレナリンがほとばしる。
まあ案の定バランスを崩して盛大に転んだんだけれども。アドレナリンのおかげで痛くなかった。やっぱりもう少し慣れてからスピード出そう。
ん?
*写真はイメージ
「サキョウさぁぁん!」
不覚にも本家『相棒』シーズン1 第11話「右京撃たれる 〜特命係15年目の真実」で、小野田官房長官と話していた後、ベンチに座っていた右京さんがビルの屋上からスナイパーに狙撃された瞬間が脳裏をよぎった気がした。
その後、サキョウさんは病院に運ばれ、サキョウさんの元妻である女将に看病されていたのだが、女将さんは石垣島で葉っぱ所持して逮捕されたのでこのくだりはカット。
つまり、最初のうちはスピードを出さないように慣れるべき。
ちなみに自転車に乗ってるかのように、意識しなくても乗りこなせるのはこれから3週間後くらい。 それまではときどきバランスを崩した。3日目をさかいに転ぶことはなくなったけど。
あれ、魅力伝わってるかな?僕の運動神経はカメだからみんなは大丈夫!!
まとめ
・スケボーは、やすい、はやい、カッコいい
・3週間くらいでカメでも乗りこなせるようになる
スケートボード、日本に持って帰ったらどうしようなあ。乗ろうかなあ。
日本の大学のスケボー人口はそんなに多くないので、乗っていれば凡庸突き抜けられるかもね。
ビールで会話するパリピの話はこちら。
ちなみにサキョウさんの写真は13万の一眼レフで撮っています。